保健室の前で、扉にかかった『留守中』の札を見つめながら、深く深呼吸をする。


深田から交換条件で居場所を聞き出し、湿布を貰いに保健室に行ったという二人を追いかけてきたけれど、俺はなんだか気後れしてなかなか中に入れずにいた。



「…え、そうなの?」



扉を開けよう取っ手に手をかけて、中から聞こえてきた声にドキッとして、また止まる。



「うん、明日の後夜祭で告白するんだって」


「わ、…なんだかドキドキする…」


「あいつには内緒な」



思わず二人の会話に耳を傾ける。


柔らかく澄んだ声の後に、大きな笑い声が響く。


外にいても伝わってくる仲の良い二人の雰囲気。


俺といる時より浅田が楽しそうに思えて、焦りに似た気持ちが湧き上がる。



同じ高校生、同じ目線。
俺にはどうやっても手に入らない。


目の前の扉が超えられない壁のように俺たちを隔てているような気がした。



ぎゅっと拳を握り締める。



…こんなところまで追いかけてきて、盗み聞きとか。


ほんと、俺、かっこ悪い。


…でも…。



ふぅ、とため息を吐いて気を取り直し、もう一度取っ手に手をかける。


俺が横にスライドするより早く、扉が開いた。

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