目を覚ますと、向かいに彼の寝顔があって心底驚いた。

いつの間に来てたんだろう?
いろいろ聞きたいことはあるけれど、まずは顔を胸に近づけて彼の温もりを感じた。

すると、彼の鎖骨あたりに残る赤い痕。
それを目にした瞬間、わたしの眉間にしわが寄る。

思わず彼をバシバシ叩いて無理やり起こした。

「…!!ぅわ、何だよ?由里…」

「由里じゃない!」

叫ぶわたしを見つめて海斗さんは目を丸くしている。
寝起きで奥さんと間違えられるのは仕方ないことなのかもしれないけど、私のベッドに潜り込んでくるくらいなら、その日くらいは間違えるべきではないんじゃないだろうか?

「…ごめん、ナナ」

膨らんだわたしの頬に手のひらを当て、海斗さんが眉を下げながら微笑む。

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切ない  四角関係