方言男子に恋をした
5.それ以上言わないで下さい

「…よし、一回休憩しよ」


そう呟いたのは、20時過ぎの広報部フロア。

あれから4人で聞ける人にとりあえず聞こうとなり、通常業務を少々放置して作業を進めた。

そのせいで通常業務を始める時間が遅くなってしまい、社内報作成に向けた企画書作りも遅くなってしまった。

案は何とか出し切ったつもりだが、まとめる作業にかかる頃にはとっくに定時後。

3人とも残ると言ってくれたが、この先嫌でも残らないといけなくなるはずだ。

そう考えた私は、半ば無理矢理だが後輩メンバーを帰して今までパソコンの画面と案を睨み合いをしていたのだ。

気付くと広報部フロアにいるのは私だけになっていた。

チラリと佐久間課長のデスクを見たが、綺麗に片付けられており、荷物も見当たらなかった。

そこで私がここにいない間に帰ったと勝手に判断。


「ま、帰ってもらった方がいいんだけど…」


いくらここが職場といえ、業務時間外で2人きり。

…耐えられる自信がない。

2人きりとか挙動不審状態になる可能性しかない。

だから帰ってもらって良かったというか嬉しい。

自分の上司相手に、失礼な気がするが。
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