コールリッジ伯爵領を北上すると、細々とした賑やかな街並みを抜け、やがて遥か遠くの地平線まで見渡せるような広大な土地に入る。

ウィルフレッド・ランス公爵が治める領地だ。

空の青と草の緑が日の光を浴びて目に痛いほど映えて、どこまでもまっすぐにのびる馬車道からは羊や牛の姿が見え、時折輝くような湖も見えた。

のどかな風が吹き渡る馬車道はきちんと舗装されていて、馬の蹄が赤い土を弾く音が規則正しく聞こえてくる。


エリナとウェンディは朝早くにコールリッジ家の邸を出発し、丸一日かけて公爵家本邸を目指していた。

馬車にはふたりぶんの荷物と、コールリッジ家の兄妹から譲り受けた、輝くはちみつが乗せられている。


ふたりは道中尽きることのない会話を楽しみながら、馬車が辿り着く先に待つ人をそれぞれ心の中に思い描いては胸を高鳴らせた。


ランス家本邸に到着する頃には、屋敷は夕食の準備に慌ただしい時分で、馬車の音を聞きつけたウィルフレッドとキットと共に、数名の侍女が出迎えに立っていた。

メイドたちはおそらく、突然やってきた王子と伯爵令嬢をもてなす晩餐の準備でてんやわんやしているに違いない。

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