ウィルフレッドが城を訪れ、この部屋に招かれるのは久しぶりのことである。

そういうとき国王は大抵その暖かなソファにウィルフレッドと王子を並べて座らせ、自分は小さいが座り心地のいいお気に入りの椅子を側に置いた。


しかし今日は部屋の中にはふたりきりで、王子の姿はなかった。


「コールリッジ伯爵令嬢と、結婚を考えてはくれぬか?」

「結婚、ですか……?」


ウィルフレッドは目を丸くさせ、優しい午後の日差しに包まれて穏やかに揺れるギデオンの灰色の瞳を見返した。


国王はウィルフレッドの母親の姉の夫であり、彼の義理の伯父にあたる。

はやくに両親を亡くしたウィルフレッドをよく気遣ってくれて、互いの仲は良好であるが、その申し出はウィルフレッドを困惑させた。


彼とて、公爵という地位を持ち、今年で29歳になる。

爵位のためにも結婚は必要で、その立場上、政略結婚になるだろうということははじめからわかっていた。


しかしその相手が問題である。


「コールリッジ伯爵家の娘と……?」


彼のアンバーの瞳は、光の加減でときどきゴールドに揺れているようにも見えた。

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