ウィルフレッドは小さく頷き、自分の膝の上へと視線を落として、それきり何かを考え込むように押し黙ってしまった。

ギデオンはそんなウィルフレッドを見つめ、彼の心中を想った。


彼に今、他に好きな女性がいなければいいのだが。

ギデオンとて、ウィルフレッドには幸せになってもらいたいし、本当であれば彼が心から愛した相手と結婚させてやるつもりだった。

それがどこかの令嬢でも、他国の姫君でも、はたまた侍女か町娘でもかまわなかった。


それでも王家との確実な繋がりがあり、社交界嫌いのウェンディが心を許し、たったの1週間の間に婚約を結ぶことのできる男となれば、彼に頼む以外に方法はない。


あとはただ、ウィルフレッドとウェンディが互いに愛し合い、幸せになってくれることを、身勝手に祈ることしかできないのだった。


「彼女には明日の舞踏会に必ず出席するようにと、丁寧に招待状を出しておいた。お前と彼女が上手く近づけるよう、王子も協力するだろう」


明日は王宮が主催する1年でいちばん大きな舞踏会の日だ。

ほとんど面識のないウェンディに不審がられることなく近づけるチャンスは、明日しかない。


「承知しました、任せてください。私がこういうことにかけてはかなり腕利きだということを、叔父上もご存知でしょう?」


ウィルフレッドは自分の肩にかかった王子の命と国の命運という重みをごまかすように、琥珀色の瞳を細めていたずらっぽく笑ってみせた。

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