ウェンディはふらふらと会場を出て中庭を歩き、肩を寄せて語り合う男女の姿が見えなくなるまで奥へ進んで行く。

庭園の奥まで来ると、生い茂る木に隠れるようにしてモニュメントがぽつりと置き去りにされていた。


ガーランド王家の紋章である薔薇を、2本の足で立つウサギが握っている。


舞踏ホールからもれる明かりも音楽も届かない、ただその気配だけが微かに漂う場所に佇み動けなくなっているウサギがなんとなく気に入り、ウェンディはそこで足を止めた。


(まるで私みたい)


今夜の舞踏会は順調だった。

ふたりの男性とワルツを踊ったし、話をしたりもした。

兄のエドガーはしばらくウェンディの側に張り付いていたが、その様子に安心して自分も今宵の仮面舞踏会を楽しむことにしたようだ。


ウェンディは自分なりに舞踏会を楽しんだつもりだったが、1時間経つ頃にはどっと疲れてしまい、もうその場にはいられなくなった。

やはり自分は社交の場には向かないのだと思う。

ここに佇むウサギのように、遠くから眺めるくらいでちょうどいい。


なぜ自分が多くの人と同じように社交界に馴染めないのか考えようとすると、劣等感とそれから己を守ろうとする自尊心とに挟まれて目眩がするような気がして、すぐに目を逸らした。

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