降り注ぐのは、君への手紙
「もっと聞かせて」
“なあ、宮子。
きっと追いつくから”
「お願い。もっと」
“待ってて”
やがて風は収まり、渦を巻いていた銀杏の葉は、力なく地面へ落ちる。
カサリカサリと積み重なり、一段と厚くなった黄色の絨毯は公園を美しく彩る。
「……那美子さん」
「変でしょ。おじいさんが好きだなんて」
「ううん」
成美は那美子の背中をさする。
「恋に、おかしなことなんてないわ」
視線を落とした成美の手も、小刻みに震えている。
「にゃーん」
猫が、場違いに明るい声で一言鳴いた。
*
そこで、画像は揺らめいて消えた。
「宮子が、……泣いておる」
じーさんは放心したように呟く。
ヨミはじーさんの肩をたたき、背中を押した。
「お急ぎなさい。早く行けば間に合うかも知れません。閻魔様には特急でとお願いしておきます」
「わ、わしはどうすれば」
「望んだようにお進みなさい。急げば今の彼女の生に間に合います。それが運命なら、きっと出会えますよ」
じーさんは唇を噛みしめると、ヨタヨタした足取りで、それでも自分なりの懸命の速さで出て行った。