フェイント王子たち
ついに同居人上京

一人暮らしには広過ぎるアパートの部屋で寒い寒いと思っているうちに、気づけば3月がやってきていた。

「いよいよ明日来るんでしょ?」

3月最初の金曜日のお昼。会社の小さな食堂室でいつものように向かい合ってお昼を食べながら、美沙が聞いてきた。

「うん。いよいよ一人暮らしも今日でおしまい」

「明日から、料理サボれなくなるね」

「そうなんだよね〜。姉ちゃんから、くれぐれもって何度も頼まれちゃってるから」

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