【完】キミと生きた証
・・・確かにこの部屋、暑いよな。


待合室の真ん中を陣取る石油ストーブの小窓の中ではめらめらと火が燃え盛ってる。


まわりを囲む柵を越えて手を伸ばして、あの温度調節のタブをいじれって仕組みか?


なんでリモコンねえんだよ。めんどくせえ。


「・・・・ちっ」



でも仕方ねぇな。


あいつ、コート脱ぎ始めたし。


立ち上がってストーブに手を伸ばしたとき。



「触っちゃダメ!」



高くてやたら可愛い声がした。



「あ?」




「その・・。触るとこうなっちゃう。やけど・・・しちゃうから・・・。」




小さな声でそう言うと包帯の巻かれた右手を挙げてみせた。



あの包帯、やけどだったのか。



その手から目線を上げて、初めてあいつを正面から見つめた。





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