【完】キミと生きた証
「ひとり?」


天使くんはあたしの傍に来た。



「ううん、瞬と来てる。」


「はぐれたのか?」


「うーん、でもここで待ってる。お手洗い行ったのかもしれないし。」



トイレの前の行列はすごいもん。


中で並んでるのかもしれないし・・・。


それに瞬はきっとここに戻ってくるもん。



・・・なんとなく、だけど。



「「・・・・。」」


あたしの隣から離れない、天使君。



「・・・あの、何か・・用、かな?」


「いやべつに・・・いや、用あった。前の件、納得できなくて。」


前の件・・って告白のことだよね。


「えーっと・・・。何が納得できない?」


「だってさ、あいつ、北工のカレシ。ちゃらちゃらしてそうじゃん。」


「ちゃらちゃら・・してそうに見える?」


「見える。ってか見えないほうがおかしいだろ。」


「そっか。髪黒くしたんだけどなぁ。ふふっ。」


「とにかくあんな遊んでそうなやつより、俺の方がちとせを幸せにできると思う!どうせちとせもあいつの顔が好きなんだろ?」



瞬の顔はすきだよ。


不機嫌そうにしてみたり、真っ赤になって照れたり、


たまに、ふっと笑う可愛い笑顔。



あたしを見つめる優しい目。



全部好きだよ。


でもね。


誠実で、頼もしくて、まっすぐで。



すっごくすっごく優しいところが大好きなんだよ。




「瞬はね、見た目はちょっとやんちゃかもしれないけど、誠実なひとだよ。」


「騙されてるって。さっきもみるからに北工っぽいやつらがナンパしてたもん。」


「もしかしたら瞬の友達かもね。ふふっ。」


「目ぇ覚ませって。」



「心配してくれてありがとう。でも、瞬はまっすぐで誠実な一番大切なひとだから。・・・誤解・・しないであげて。」



「ちとせ!!」



そんな話をしてたら、瞬が戻ってきた。



走ってきたみたい。

髪くしゃっとしてる。



ほら、やっぱり。来てくれると思った。



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