【完】キミと生きた証

文化祭


夏は過ぎて、9月某日。

私たちは文化祭の出し物の、お化け屋敷の準備に勤しんでいた。



「ちーちゃん、暗幕届くー?」


「ぎりぎり届・・・かない!」


「ちょっとミキちゃん、ちーちゃんと変わったげてー!」


「あいよー!」


2-Bも仁奈ちゃんが仕切ったら簡単にまとまっちゃう。


暗幕をいたる個所に巻いて、机と段ボールで道をつくる。


「このマネキンに、コレ着せたらいいの?」


「うん。」


「これ誰の剣道着?」

「俺の。」

「へぇー。結構重いんだね。」


剣道部のタカハシ君とマネキンに剣道着を着せた。


胴や面や小手をつけて、完成。


見上げると、どーんとド迫力。


「これが曲がり角に立ってたらびびるだろ。」


タカハシ君は満足気に笑ってる。


「ちーちゃん、みてみて!このDVDずっとながしとくんだけどさーこわくなーい?」


「うわぁ・・。こんなの暗がりでついてたらトラウマだよ・・。」




時刻は6時を回る頃。


ようやく完成したお化け屋敷。


仕掛けのクオリティは高い方だと思う。



放課後に保健室に行くと、瞬が待ってた。



「終わった?意外と早かったな。」


「ちょっとちーちゃん、聞いてー!瞬君に数3教えてたんだけどさ、態度悪いのなんの!」


「わかってるとこばっか教えるからだろ!わかんねえとこが聞きてえんだよ!」


「だって私もわすれたもん。何年前だと思ってんのよ。」


「・・ちっ」



真由ちゃん先生はコーヒーをすすって、瞬はシャーペンをくるくる回す。



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