【完】キミと生きた証
「イズミっていうんだ・・。」



見えなくなった背中に向かってつぶやくと、一馬くんがどしんとあたしの隣に座った。



「今イズミちゃんと話してなかった?」



「うん。黒い髪の綺麗な子だよね?」



「そうそう!学校1の美人!俺も久々に間近でみたかったなぁー。」


「えー学校1なら仁奈も見たかった!ってか見てくるついでにトイレ行ってくる!」



そう言って仁奈ちゃんは階段を駆け下りていった。




下にいる瞬をぼうっと眺めながら、一馬くんが口を開く。




「それにしてもちぃちゃん、どんな魔法つかったんだよ?イズミちゃんの色気でも瞬は落ちなかったんだぜ?」



「え!あの子瞬のこと好きなの?」



「昔なぁ。かなり追いかけてたけど瞬のやつあんなんだから。全部断ってた。だしもう諦めたんじゃねえかな。」


「そうなんだ・・・。」



昔のことなはずなのに、ちくんと胸が痛む。



「イズミちゃんあんな美人だろ?俺ら入学してすぐの頃さぁ、イズミちゃんにちょっかいだしまくったんだよね。」


「いつもの友だちと?」


「そうそう。そしたらイズミちゃんすんげー迷惑がってさ。当たり前だけどな。ははっ。」


「可哀想に・・。」


「で、一匹狼だった瞬に”止めとけ”って言われてさ。かちんときて、喧嘩吹っかけたら逆にやられた。」



「それが停学の理由?」



「そうそう。いい思い出。ははっ。」



「・・・そうなんだ。」



一馬くんは両手を上にあげて伸びをした。




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