【完】キミと生きた証
「けほっ。」



冬の空気は冷たいからかな。


風邪でもひいたのか、喉の調子が悪いけど、



瞬に会えるのが楽しみで、心は元気いっぱい。




積もった雪を踏みしめて、ゆっくり向かうけやきの駅。



駅に入ってみれば、久しぶりにみる緑色の黒板があった。



『1時間程度の遅延』だって。




・・嬉しい。

大好きな待合室で、瞬といっぱいお喋りできる。




わくわくしながら、白く曇った待合室の扉をがらがらと開けた。



・・・まだ、来てないや。



あたしは左の端っこに座って、瞬を待った。



ストーブの上のヤカンはこぽこぽと音を立ててる。



大好きなその音に耳を澄ませていると、近づいてくる足音が聞こえた。



がらがらと扉は勢いよく開き、



「わりぃ、遅れた!」



って瞬の声・・。




風に乱れた黒髪。


大きな目、なきぼくろ。



左隅に座るあたしを見ると、目元は心なしか優しくなる。




「おつかれさま」って笑顔で言うと、瞬の口元がほころんだ。



あたしの隣に瞬が座る。


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