【完】キミと生きた証
咳がでるわけじゃないんだけど、なんかひっかかってる感じがする。



「んんっ。ゲホッ」



・・・あれ?


なんだろ・・?


口の中の違和感に、あたしは立ち上がった。



「・・・ごめ、トイレ、いっへくふ。」



「あ、あぁ。」



女子トイレ洗面台。


真っ白な陶器に、口の中の違和感を吐き出した。




ソレを見た途端、さっと血の気が引いた。




・・・・え?



赤い・・。


水に滲んだ、真っ赤な鮮血。



「あ・・。」


口の中を鏡でみても、もちろん怪我なんてどこにもない・・。



「・・・っ」



過呼吸でもおこしそうなくらい、呼吸が乱れる。



手が震えだした。



これ・・・・血、吐いた・・ってこと?



震える手で、蛇口をひねって、赤い色が流れて消えた。



がくがく震える足もとを抑えるために、しゃがみ込んだ。




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