【完】キミと生きた証

ふたたび

瞬は病院に向かう車の中で、震えるあたしの手を、ずっと握っていてくれた。



2月14日、バレンタイン、この日から再び、あたしの入院生活が始まった。



・・・この前退院したばっかりなのになぁ。



シャワーもトイレもついてる個室がちょうどとれて、そこに入院になった。


真っ白な部屋ってわけでもなくて、ところどころに木が使われてて、温もりある部屋。



手すりも水色やピンクでかわいいんだけど・・・。



広い部屋にひとりって、孤独だなぁ・・。



チューブから酸素を吸い込みながら、手元の本を置いて、窓をみつめた。



3月間近の今日、外は快晴だけど、風が強そう。



瞬は2年生最後の模試をうけてる。



放課後の時間帯になったら、瞬はあたしに会いに来てくれた。



「瞬・・おつかれぇ。」



この時間があたしの唯一の楽しみ。



「どうだ?調子は。」


「血は混ざらなくなった。」


「いい傾向じゃん。」



「瞬は?模試どうだった?」



「微妙だなぁー。すげえ難しかった。」




そう言って、あたしのベッドにポンと何かを置いた。



「日中暇だろ?今日はDVDな。」



前みたいに鬱状態にならないようにって、瞬は毎回何かしら持ってきてくれる。



「・・・ありがとう。この本もすっごい面白いよ。」



「なら俺も返す前に読むかな。」



ピンクの椅子をかたんと引いて、瞬がマフラーをはずして腰を掛けた。



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