【完】キミと生きた証
「そう言えば、手術はどうなった?」



「できないって。」



「できない?」


「うん。逆に危ないから、しないって。」



「・・・へぇ。延期ってことか?」



「うーん、どうなんだろう。わかんない。」




今までで一番綺麗な病室、なのにすぐに手術をするわけでもなくて。



飲んでる薬の量はそんなに増えないし、特別変わった点滴を刺されてる気もしない。



もしかして、もう治らないから、最期の時間を思う存分に過ごせってことなのかな。



最期の生き方を大事に・・・って終末期医療・・よくいう”ターミナルケア”にはいったのかな・・・。


「・・・ターミナルケアだったらどうしよう。」



乾いた声で笑うと、瞬の声がソレをかき消す。



「ねえよ。もしターミナルケアならそもそも病院にいねえだろ。ちとせの場合。」



「そうだよね。ごめんごめん。でも、手術じゃなくてちょっとラッキーかも。」



「そっか。そうだよなぁ。いつも・・・すげぇよなぁ。」



瞬はポンポンとあたしの頭を撫でた。



「・・・へへっ。褒められた。」



にこにこ笑うと、瞬も笑う。



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