【完】キミと生きた証
学校は、本気の大学受験とは無縁なやつばかりだ。


「おう瞬ー!まった勉強かよ。」


「うるせえな。お前クラス戻れよ。」



一馬はしょっちゅう特進科に顔を出すようになった。



ちとせと別れたって言ったから、一馬なりに心配してんだと思うけど。



「頼むから、静かにしてくれ。」



・・・俺は受からないわけにはいかない。


ちとせの願いを叶えられないなんて、馬鹿な人生を送る気はない。



「おーい。大丈夫か?」



パチンと目の前で手を叩かれて、目の前に立つ一馬を見上げた。



「あ・・あぁ。」


「勉強しすぎじゃねえの?最近ぼーっとしてるぞ。」


「そう・・だな。息抜きするわ。」



俺は一馬について、屋上に上がった。



錆びついた扉は音をたてる。



開いた扉の隙間から、秋の風が流れ込んだ。




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