【完】キミと生きた証
「新しい職場どうだった?」



「前より小せぇ病院だけど環境はよさそう。でも小児がなぁ・・・。ボランティア募集したほうがいいと思うんだよな。」


「へぇ。なんのボランティア?」


「絵本読んだり、紙芝居よんだりさ。人員不足でそういうのする暇がねえからなぁ。」


「紙芝居かぁ・・・。」



あたしにもできるかな・・?

練習してみようかな。




「ちとせ、ゆっくり歩こうぜ。」


「あたし、もうはやく歩けるよ?」


「俺がちとせと、のんびりゆっくり過ごしてえの。」


「・・・あはっ。そっか。」



口下手だった瞬は、ちょっとストレートになっちゃった。



聞いてみたら、「言いたいことが言えずに後悔したことがある」って。
なんのことかはわからないけど、人に伝えるっていう努力をしてるみたい。



だけど、そんな言葉にまだ慣れないあたしは、いつも心臓を急かされる。



でも、思うの。


このときめきを、ずっと忘れたくないって。



誰かがくれた心臓に、この暖かい鼓動を刻んでいきたいって。




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