【完】キミと生きた証

雪溶けのように



雪も溶けて、春が近づく頃。


明るい太陽が、指輪をきらきらと輝かせてくれる。




あたしは今日も、瞬の働く病院で検査をうけた。



「今日はこれで終わりな。お疲れ様。」


「ありがとうございました、武石先生。」


あたしがぺこりと頭を下げると、「はいはい」って照れくさそうにそっぽ向いて、パソコンに文字を打ち込んでいく。


・・・そんな瞬は。


ブルーのオペ着に、真っ白な白衣を身にまとって。
首から下げる聴診器。


サマになってるその姿、まだまだあたしには見慣れなくて。


まだまだあたしの胸は、どきどきと音をたてちゃうみたい。



「今日、お昼ごはん一緒に食べれる?」


「食う。」


「あはっ。ありがとう。じゃあお昼に食堂で待ってるね。」


「・・今日も小児の棟行くのか?」


「うん。絵本持ってきた。」


「そっか。つーか、俺も今のうちにトイレ行こうかな。」


「一緒に出よっか。」



あたしが見上げたすぐとなり、ふっと笑う瞬の優しい横顔があった。



< 472 / 478 >

この作品をシェア

pagetop