【完】キミと生きた証
落ち着いた頃、食事を始めた。



「瞬くんとなんかあったの?」




あったかいトマトスープを口に運んでいると、お母さんが聞いた。



「うん。」





告白されたこと、でも悩んでること。


そんなこと伝えたら、母は言った。



「ちーちゃんは瞬くんのこと好きなの?」



「・・・うん。」



「じゃあ迷うことないじゃない。」



「なんで・・・。だって、お母さんみたいに一人にしちゃったらどうするの?」



「お母さんはお父さんと一緒になれなかった方がずっと悲しい。」




「・・・そ。」



「それに、ちーちゃんはお父さんとは違う。絶対に死なない。」




もう一度強い口調で念を押してから、穏やかな母の顔に戻った。




「ちーちゃん、せっかく女の子に生まれたんだもん。恋の幸せは、かみしめないと。」




現実逃避してるようにみえるお母さんだって、




どこかで覚悟してる。




あたしがそのうち死ぬことを・・・。





だからきっと、このちっぽけな恋を応援するんだと思う。




死ぬ前に恋のひとつくらいしておいたほうがいいって、親心。





それは他人への迷惑よりずっと大きいんだと思う。




・・・。





誰かに聞いてほしい。



偏見も何もない、第三者に。




だって・・・あたしじゃ抱えきれない。




でも、誰に・・・。





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