輪廻
天成
自分の名前なのに、『天成』って漢字で書くのが苦手だった。

僕は頭も弱く、家は貧乏だ。
逆に、そう思った方が良い。
周りに比べて自分がいきなり劣ってしまうとゆう事の怖さを知っている。

昔は裕福だったのだろう。
成績も劣ったのは、勉強する為の環境が整っていないせい。

友達はリンリンと良く鳴く虫。
名前も知らない。

夜が怖かった。
多分、音のない世界で自分の脳内の音だけが響き渡るのが気持ち悪い感覚になる。

僕は昼間の太陽が好きだった。
羨ましいと云うのは変なのだろうか。

だけど、夜中の公園は落ち着くんだ。
静かに耳を澄ませれば、全く静かではないぐらい、命の声が聞こえるから。

無音程、怖いものはないんだ。
< 5 / 11 >

この作品をシェア

pagetop