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昼休みの屋上で、私はコハクと一緒にお昼御飯を食べていた。


「桜、ボーッとしてどうしたの?」

卵焼きを箸でつまんだまま動かない私を、心配そうにコハクが見ていた。


「信じられないくらい、穏やかだなと思って」

「桜は今の生活は嫌?」

「ううん、でもちょっと罪悪感があるかな」

「罪悪感?」

「私がコハクの隣に居ていいのかなって」


コハクと恋人のフリをしているのは、お互い利点があったから。

私は放課後すぐに帰れるようになって、クッキーの散歩の時間を今までより多くとってあげれるようになったからすごく助かっている。

それもこれも、コハクの完璧な恋人のフリのおかけだ。

でも、私が学園内でコハクのために役立った事はない。

彼は保健室で初めて見た時以来、校内で獣耳を出した事はないからだ。

獣耳が出た時に教えてあげるのが私に与えられた使命。

コハクの事を考えると、周囲に正体がバレるわけにはいかず、ないに越したことはない。

しかしそうなると、お互いに利点がある関係ではなく、私だけが彼に依存した形になってしまう。

朝も帰りもわざわざ私を家まで送り迎えしてくれるし、大丈夫だからと言っても譲ろうとしない。

その時間だけでも、かなりコハクの時間を奪っていて負担になっているのは確かだ。

この作品のキーワード
溺愛  甘々  いじめ  純愛  イケメン  学園  切ない  妖怪    三角関係 

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