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『さむい……このまま、死んじゃうのかな……』


降りしきる雨が、容赦なく僕の体温を奪ってゆく。

道路に横たわったまま、動く事さえ出来やしない。


『だれか……たすけて……』


弱々しく叫んでも、誰にも僕の言葉は届かない。

僕が人間の姿をしていたならば、誰か助けてくれたのかもしれない。

でも今の僕の状況は、狐が車に轢かれて死にかけている様にしか見えない。

可哀想にと同情の視線がくるか、嫌なものを見たと目を逸らされるだけ。

身体の痛みと激しい雨で僕の体力は限界に達しようとしていた。

このまま目を閉じたら楽になれるかな。

少しだけなら、いいよね。


「大丈夫? 安心して、私が君を助けてあげるから」


小さな少女が傘で雨を遮るようにして、声をかけてきた。

彼女は着ていた白いカーディガンを脱いで、僕を優しく包み込んで抱き上げると、何処かへ走り出す。


(ああ、とても温かい)


あまりの心地よさに僕はそのまま意識を手放した。

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溺愛  甘々  いじめ  純愛  イケメン  学園  切ない  妖怪    三角関係 

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