***

「美希……」

生理的な涙が一筋、瞳から溢れていくのを感じた。


「桜! 気が付いたんだね! 良かった! 大丈夫? 僕の事分かる?」

「コラ、コハク。そんなに一気に聞いたって分かるわけねぇだろ。男ならちったぁ黙ってろ」

「だって桜が!」

「はいはい、ちょっとそこに座ってろ。カーテン開けんなよ」


──バシャン


「大丈夫か?」

「ここは……私は一体……」

「ここは保健室だ。お前さんは意識を失ってここに運ばれてきた」


そっか、私……桃井に呼び出されて、それで……コハクに過去がバレたんだ。


「身体に違和感あったりしないか? あるなら今から病院に連れてくが」

「大丈夫です。歩いて帰れます」

「コハク、一条を送ってやれ」


橘先生の『コハク』という言葉に、私の身体はビクリと大きく震える。

どんな顔で彼に会えばいいのか、分からない。


しかし、私の不安は「さーくーらー!」と叫びながら思いっきり抱きついてきて、頭に頬擦りしている人物によってかき消された。


「目を覚まさなかったらどうしようって、ずっと心配してたんだよ」

そう言って、コハクは私を抱き締める力を更に強めた、強め過ぎた。

「コハク……苦しいよ」

「あ、ごめん桜。嬉しくってつい……」


物理的に押し潰された私の身体は、とりあえず空気を求めていた。

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溺愛  甘々  いじめ  純愛  イケメン  学園  切ない  妖怪    三角関係 

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