愛しき日々へ
「いらない世話かもしれないけど、どうぞ。」
そういって小さく笑ってくれた眼鏡の男性に頭を下げて缶ジュースを受けとるとひんやりと冷たい缶の温度が手のひらに広がった。
それを手のひらで転がしていると俺の横にその人が座る。
「自己紹介してなかったね。
俺は笹木理人(ササキリヒト)。
お母さんからなにか聞いてるかい?」
笹木理人。
聞いたことのない名前だ。
母さんからも一度も聞いたことは無かったと思う。
俺が首を横に振ると彼は苦笑いを浮かべた。
「そう、か。君の名前は?」
「白雪、砂羽(シラユキサワ)です。」
「砂羽君か。年はいくつ…?」
「15です、けど…。」
なぜそんなこと聞くのだろう。
不思議に思い顔を上げると彼はどこか驚いたように俺を見た。