四方八方から向けられるフラッシュの嵐。絶え間なく響くシャッター音。


「では次で最後の質問とさせていただきます」


司会進行を務めるテレビ局アナウンサーが発言すると、最後という希少効果も手伝ってか、今までで一番たくさんの記者が挙手した。
指名されて立ち上がった記者は、テレビ情報誌の記者だと名乗った。


「主演の望月舞子さんに質問です。
望月さんにとって今回の映画が初の主演作になりますが、タイトルの『願い』に掛けて……今年ももう終わりますし、来年度に向けての願い、抱負をお聞かせ下さい」


お茶で喉を潤していた私は、ゴクンと口の中のお茶を飲み干すと、慌てて卓上のマイクのスイッチを入れた。


「は、はい。……え~っと……抱負、ですか。
来年は私も女優活動を始めて八年目になります。
今回の映画で主演を務めて、初めて『座長』としての役割を学ばせて頂きました。
来年もこの経験を生かして、もっともっといろんな作品で女優として成長していきたいと思います」


緊張もMAXで、笑いなんか取れない。
だけど真摯に向けた言葉に、並列に並ぶ共演者やスタッフが頷いてくれるのが横目に映った。


「……それから……願い、なんですけど。
来年は私も二十五歳になるので、そろそろいい恋したいな、って思います」


ニッコリ笑ってはにかみながらそう発言して、マイクのスイッチを切る。
その途端、記者席からは私の発言に突っ込むように、新たな質問をぶつける声が飛び交った。


「お時間ですので、記者会見を終了致します。本日はありがとうございました」


アナウンサーが場を収めるように一言放って、私を始め、登壇した他のメンバーも立ち上がる。
そして会場の袖に真っ直ぐ歩き始めた。


「望月さん! 意中のお相手がいるんですか!?」

「どんな男性がタイプですか!?」


最後の質問に対する私の答えの余波で、聞こえて来るのは私に対する質問ばかり。
それを耳にしながら記者席に軽く会釈して、私は会見会場を後にした。

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