~Special Short Story~
「生徒手帳はまだ前に見つけていたけど、1ヶ月も返せなかったのは、お前と話す機会をすぐに終わらせたくなかったから」
少しだけあたしの方を見る香山先輩。
「お前と話すために無駄に絡んだし、照れ臭くて口も悪くなっちゃうし……もー俺どうかしてる」
どうしよう、香山先輩が可愛く見えるんですけど。
「……なに笑ってんだよ」
「別にー。相当あたしに惚れ込んでるんだなぁと思いまして」
「!?」
「あれ?事実ですよね?」
「お前なぁ……」
香山先輩ってよく分からない。ウザ絡みは愛情表現で毎日あたしに会いたくて?それで変な嘘までついて?
「香山先輩」
「んだよ」
「仕方ないから、先輩の彼女になってあげましょうか?」
ニヤニヤしてしまうのは、香山先輩が素直だから。
「お前すっげー上から目線なんだけど?」
「目黒くんに取られてもいいんですか?」
「アイツモテるから、お前俺の彼女でいんじゃね?」
素直なんだか不器用なんだか。そんな香山先輩だけど、あたしの気持ちも嘘はつけない。
「では、喜んで」
そうそう、あとからシズとサヤに聞いた話。
香山先輩も出席番号は……6番なんだって。
本人に言っても否定されたけど、ちょっぴり運命感じちゃった。
end