詐欺師の恋
あたりまえのこと

週末。




こっちに来ていた中堀さんから連絡をもらった。



新しい番号に一瞬戸惑って、取るのに少し遅れたら、不機嫌そうな声で、『家の外見て』って。




なんだろと思って寝ぼけ眼をこすって、部屋の窓から外を覗いたら、忘れることの出来ない黒の外車があった。



その外に出て、スマホ片手にこっちを見上げている金髪の中堀さん。




家の外より今の自分見てって感じ。



私、もろ寝起き。



信じられない。



アンビリーバブル。




パニックに陥る前に、数秒思考が停止した。





…なんでもっと早く言わないの?!





有り得ないでしょ?



自分勝手過ぎるでしょ?!




私にどうしろっていうのよ。


もうここまでくると、私の粗探しにきたとしか思えないよ。



抜き打ち検査みたいなやつ!



ただでさえ、中堀さんに良いとこ一個も見せてないのに、マイナスからのスタートなのに!
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