社内恋愛なんて
私のナイト
部長……じゃなくて誠一郎さんとようやく本当の恋人同士になれて、もうすぐ一か月が経とうとしている。


どうしてだろう、身体の結びつきがあると不思議と自然体になれる。


今までは少しぎこちなくて無駄にドキドキしていたのが、素肌に柔らかく触れる毛布みたいに心地いい。


少しくすぐったいような気恥しさもあるけれど、自分の一部みたいになった安心感があって、肌が触れ合うことの大事さを知った。


 付き合いは至って順調で、仕事もやる気が漲っている。


私たちが付き合っていることは、会社中に知れ渡っているけれど、社内恋愛が珍しい会社でもないので、特にきまずい思いをすることもない。


誠一郎さんと付き合ってから、運が良くなった気もする。


例えば晴れの日が多くなったとか、綺麗な虹を見ることができたとか。


冷静に考えればどれも普通のことなんだけど、小さな幸せをたくさん発見できるようになったから、そう感じるようになったのかもしれない。


会社に出社すると、誠一郎さんはすでにデスクで仕事をしていた。


今日も朝早い。


昨日、遅くまで仕事していたみたいだから大丈夫かな、と心配しながら横目で誠一郎さんを見ると、パチリと目が合った。
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