チラリと悩みの種の相手を目線で追うと、彼は自分のデスクに座り、パソコンと向かい合っていた。


額に皺を寄せて、怖い顔をしながら仕事をしている。


いつものように、話しかけるなよオーラが漂っていて、黙々と自分の作業を続けている。


 最初は苦手だったのにな、そう思いながら見つめていると、彼が突然顔を上げて、私と目が合った。


うわっ!と心の中で叫びながら、慌てて目を逸らす。


そしてすぐに後悔した。


あからさますぎだ。


もっと自然に目を逸らせば良かったのに。


じっと見ていたことがバレてしまった。


 ああもう、だから嫌なんだ。


社内の人と男と女を意識する関係になるのは。


あれだけ、この人だけはやめようと思っていたのに。


 胸が痛いくらい鳴る心臓を必死で静めて、今度は気付かれないように様子を窺うと、彼は何事もなかったかのように仕事を続けていた。