奥様のお仕事
それからしばらくして私はいつの間にか眠ってしまった。


「マリン……シートベルトして」
浩一郎の声で目が覚める。


「え?」


「千歳につくよ」


「もう?」


「二時間爆睡してたよ」


「え!!やだ!!!」


「大きな寝息たてて よだれもたれてた」


「嘘!?」


「あはは 嘘嘘 ほら しっかり止めて……」



近づいてベルトを締めてくれた浩一郎からすごく
いい香りがしている。


男の人もいい匂いするんだ。
オシャレな人なんだな・・・・・・・。


島には そんな人いなかったから・・・・・・


再び緊張が襲ってきて私は目を固く閉じた。
耳元で響く 何とも言えない轟音が怖くて耳をふさぐ。


飛行機怖い・・・・・・
二度と乗りたくない・・・・・・
ってことは 島にはずっと 帰れない・・・・・・



衝撃があって 浩一郎が

「寒いから さっきの パーカー着ておりなさい」


「はい」


飛行機が降りた瞬間から 空気が違うのがわかった。


「寒い・・・・・・」
私は体を縮めた。
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