奥様のお仕事
浩一郎がこれがいいって選んでくれた浴衣は
薄いピンク色の 可愛らしい浴衣だった。


反対に私が浩一郎の浴衣を選んだ。
薄い緑色の浴衣が絶対に似合うと思った。


部屋に戻ったら 庭の露天風呂に入ろう
多分 次は浩一郎が展望風呂へ行くだろうから


置き石を歩いて 格子戸をあける。


部屋に入ると まだ浴衣に着替えていない浩一郎がいた。


「あれ?浴衣着ないの?」


「悪い ほんとに悪いんだけどちょっと
戻らなければいけなくなったんだ」


「え~~~!?どうして!?」


言いずらそうな顔に ピンときた。


「月影が 逮捕された」


「五月さんの?」


「うん・・・・五月さん ケガをして運ばれたらしいんだ。
様子見に行って来たい 今日中に戻るから
先に一人で悪いけれど食事しててほしい」


不満が爆発しそうになって 必死に抑える。


「心配なんだ 大したケガではなさそうだけど
逮捕されるくらいだから・・・・・多分離婚の話を
出したんだと思う・・・・・逆上されて・・・・・」


離婚


もうそんなとこまで 話が進んでるの?


「今日中に必ず戻るから ゆっくりしていて
連絡は入れるし心配しなくていいから」


格子戸が閉まって 私は溢れる涙と一緒に泣き伏した・・・・。
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