奥様のお仕事
寄り添う想い
祖母の初恋の人に会いに行くと
突然言われたのは

志望校に入学した祝いに南の島を旅していた時だった。

一度中学の時 偶然入った小さなギャラリーに
飾られていた

口では表現できない海の青さに
感動してから 是非旅したいと熱望していたけど
自分が旅行していた地の海も 綺麗だったけど


あの青さではなかった・・・・・
画家の表現が大げさなのかと少しガッカリしたけど


「おじいさんには 内緒よ」

祖母は そう言うと少女のように笑った。



俺は 初恋の人に会うために
小さな島へ船で 向かった。



「うわ」

飛行機や車の中では 味わうことのなかった
美しい海に 船酔いも忘れて 酔いしれる。


あの絵の色に 近づいている・・・・・・・


「すごいよ おばあさん」


「私は もうドキドキ 
それどころじゃないわ~~~」


「おじさんには絶対言えないね」


「嫉妬するから~
それでなくても 大変だったのよ。
でもね 私の甘くて切ない思い出には 踏み込んで
もらいたくないのよ」


祖母にも そんな時代があったんだ。
まだ恋なんて知らない俺


俺もいつか 一生忘れることのない 大切な思い出を
この胸に刻むことができるのだろうか・・・・・。
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