奥様のお仕事
「疲れただろうから 休みなさい」

「休むって」

浩一郎が立ち上がって
大きい方のベットの布団を持ち上げた。


「おいで」

ちょっと待って おいでって・・・・・
心臓が今まで聞いたことのない音を立ててる。


私は胸の前で腕をしっかりクロスして
ベットの隅に移動した。


「こんなに広いんだから 真ん中で寝なさい」

浩一郎が笑った。


え?


体が宙に浮いた。
お姫様だっこされて ベットの中央に移された。


フワフワの軽い布団を静かに私にかけて

「明日から 忙しくなるからね
今日はとりあえず ゆっくり眠りなさい」


おでこを優しく撫ぜられて失神しそうになった。


浩一郎は寝室の明りを消して また書斎に戻って行った。


ちょっと・・・・
もう


何かあったら大変だけど
何もなくて 肩すかしを食らったようで


私 バカじゃないの・・・・・
何ドキドキしてんのか!!!



出るつもりのなかった島を出て 一番遠い寒いところへ
やってきて……贅沢な部屋で食べたことない料理を食べて
すごいお風呂に入って いろんな化粧品をつけて
こんな大きくてフワフワの布団の中で 夜を迎える・・・・・。
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