「今日は忙しい日だからね。
そして初日だから いろいろ緊張するとは
思うけど しっかりやってね」


「しっかりやってと言われても……
どんなことが待ってるのか想像できないです」


部屋に運ばれてきた 朝食
パンとスクランブルエッグにベーコン
コーヒーの香りが部屋に広がっている。


「昨日も言ったけど
マリンは私の妻として振る舞ってほしい」


「どうしてですか?理由を聞いてません」


「いろいろあるんだよ。
私くらいの年になると 家のために結婚とか
簡単にさせられるから 私の事情で申し訳ないけど
そういうことで 自分の人生を奪われたくないんだ
そのために この年になるまでずっとひとりでいたのに」


「恋人とか…いないんですか?
本当に演技じゃなくて 結婚したい人とか」


浩一郎が フフフ……と笑った。


「いれば マリンに頼まないよ」


「そりゃそうですけど………」


「二人っきりの時はそれでもいいけど
外に出たら しっかり甘えてくれよ
他人行儀でよそよそしい二人が 結婚したいなんて
それこそ不自然だからさ」

コーヒーを飲みながら 英語の新聞に目をやる。


寝てる方がずっと可愛いのに・・・・・・。