エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
第三章 大奥を崩せ
そして「じゃあ午後も頑張って」と言って、せっかく立ち上がったばかりなのにまたミーちゃんの前にしゃがみ込みこんだ。

葵が去ってからも沃野はミーちゃんを撫でまわして遊んでいた。

ミーちゃんもフニャー、フニャーと甘えて喜んでいる。

10分以上が過ぎてようやく「さてと、そろそろ戻って午後は大奥崩壊でも企てようかな」、と沃野は立ち上がり、「みーちゃん、またね」とあいさつをして会社に向かった。


葵は会社に戻ったが、ランチに出る前とまったくざわついた気持ちは収まらず、というか沃野の思い出話を聞いたり、抱きとめられたりしたせいで、気持ちが収まるどころか、より一層ざわついてしまった。

家族になるんだから、身の上話を聞くのは悪くないよね。

家族だからお互いを知りあうことは大切よ。

でもなんであんなところでよろけちゃったりしたんだろう。

まあね、弟になるんだからね、よろけたら抱き留めてくれてもおかしくはないよね……とかなんとか、

ランチに出る前と同じように、公園での出来事にいちいち理由をつけて、葵はなんとか自分の気持ちをリセットしようと試みた。
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