傷ついたミュールと沈んだ気持ちのままローマ市街地へ戻った。
狭い路地裏でイタリアの女性たちが固まって歩いていくのを美雪は目撃する。目を凝らしてその様子をうかがった。嫌な予感がする。
普通の集団ではない。
まるで何かを隠すように何人かが段ボールのボードで覆いを作り、その中で何が起きているのかわからないようにしていた。

大変!!

美雪は大きく息を吸った。

「やめなさい!」

周りに聞こえるように大きな声をあげ、 手を伸ばして止めにはいる。
その声に素早く反応した集団が、突然の第3者の登場に蜘蛛の子を散らすように逃げていく。それまで囲まれていた男性の姿があらわになるも、必死になっている美雪はその顔を見る余裕もない。

「お財布とパスポート確認して!」

声をかけ、走りながら横を通りすぎる。そのまま逃げていく集団を追いかけた。
ミュールの足では速く走れない。そう思った瞬間、片方のミュールが脱げてしまった。

「…………!」

ミュールを拾うかそのまま追いかけるか迷い、ためらう美雪の背中に声がかかる。

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