君色-それぞれの翼-
Ⅲ 一方通行

距離



「苗ー、バス停まで一緒に行こ!!」

入学してもう3ヵ月。部活も本格的になり、学校に慣れて友達も増えた。

その中でも、苗とはとても気が合った。

「良いよー、杏奈も一緒良い?」

「全然オッケー!」

苗は一緒にいて気が楽だった。
大人っぽくて、嫌がる事も言わないし、こっちが気を使わなくても、別に普通。
大した事無い様な条件だけど、苗の様な人は数える位しかいない。
だから一緒にいて苦にはならなかった。


「今月末テストだよねー。」
「やだー。受けたくなーい。」
定期テストの話をすると、自分がついこの間までランドセルを背負っていた小学生だったとは思えない。
なんとなく、中学生だなぁ、という感じがする。

制服を着て今までとは違う感じがするのも、給食がお弁当になったのも、下校時刻が遅いのも


きっと中学生になったから。




戸谷君と話せなくなったのも








きっとそのせい。

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