少女Fの思惑

はち

女子はみんな仲良くおしゃべりしてるみたい。そうよね、恋バナとかするよね、主に一ノ瀬が話題の。
一ノ瀬や一条くんとは席が離れているのでまず目が合うこともなくて安心だ。
「よっしゃ!俺大富豪っ!」
「澤口死ね」
「ひでぇ!菅谷ひでぇ!!」
「うっさ」
見てよ、このモブの集まり。最高だね。
私合わせて6人でやっててその中の3人は同じグループの男子だ。山田くんと澤口くんと菅谷くん。騒いでるのもその3人。あとの2人は西本くんと樋野くん。モブ臭たっぷりの2人は個人的お気に入り。
「大貧民だれー?」
「樋野だよ」
「はい、じゃカードきって」
「はいはい」
樋野くんはカードを見事な動きできりながら私の方を向いた。
「居心地悪くない?」
「え?全然」
むしろ天国のようですが。
言っておくけど逆ハーのような状態だからとかじゃないよ。モブ天国だからだよ。
「そ?ならいいけど。グループ活動とかもあるからよかったらこっちの班の女子と…って思ったけど」
「ありがとー。でもうーん、いいや。ほら、同じグループになったってことは仲良い2人なんでしょ?私が割って入るのもさー…」
それはそれでめんどくさいし。
「…岩泉って優しいんだな」
ちがいます。


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