少しずつ、見えるミライ
俺に望みはあるのかな



*。*。*。*。*。*。*



この前、訪ねて来たって聞いた時から、本当は毎日、ドキドキしていた。

修ちゃんが、私に会いに来る。

そんなこと、今まで考えたこともなかったから。



だって、私は、詳しい事情も聞かずに、「浮気」という事実だけで、修ちゃんに離婚を切り出した冷たい奥さんだ。

用もないのに、そんな妻にまた会いたいなんて思う訳がない。



修ちゃんが大好きだったあの頃の私には、彼が他の女に手をつけたことが許せなかったし、ショックが大き過ぎて、耐えられなかった。

どういう経緯でそうなったのか、言い訳なんて聞きたくなかったし、一部始終を聞くのが怖かった。

だから、聞けなかったし、聞かなくて良かった。

修ちゃんには、そんな最低な男に成り下がってほしくなかったから。



浮気の相手は、私の一期下の後輩。

私はその子のことを、あまり詳しくは知らない。

修ちゃんがうちの支店に異動して来る前にいた支店で、その子と修ちゃんは一緒に働いていて、彼女は入社以来、ずっと片思いをしていたらしい。



それが、異動して間もなく、異動先で私という恋人ができた。

しかも、間もなく結婚するという噂だ。

面白くないと思った彼女は、顔も知らない私に対して、徐々に嫉妬の炎を燃やして行ったようだ。
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