むとうさん
「相変わらず仕事してるね〜!」
同期の奈津美の声がした。

「お疲れー。くたくた…ってかどうしたの?」

「宮野さんと軽く打ち合わせ。詳細ききたくて。」

宮野さんは私の部署の先輩で、私が尊敬する人だ。温厚で優しいんだけどすごく真面目で熱意があってコツコツと仕事をこなす人だ。あの努力と優しさに勝てる人はいないだろう。

「もう仕事あがるの?」

「そうだね。今週がんばったからやること終わったし。もっとやってもいんだけど帰るかな。」

「またひと段落したらご飯でもいこ♪」

「うん!」

疲れた…けど充実してるな…。なんか休むのに罪悪感を感じない。奈津美に話せなかったな。というか聞かれなくてよかった。今はそういうモードじゃないから、私達のことを良く知る奈津美に色々聞かれたら怒ってしまいそうだと思った。

あ、そうだ。今日は自分一人で花金にしようか。私はトイレで化粧を直して家の駅まで向かった。
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