むとうさん
もう一度恋をする

旅の始まり

達也がいなくなってからもう2ヶ月がたった。
あっという間だなぁ。部屋にはまだ達也が置いていったスウェットがある。捨ててもいいのかもしれないけど、口実作りにと、とっている自分が情けない。

この前のこと…私はどんなつもりであんなことをしてしまったのだろう。むとうさんを抱きしめるなんて。
恋愛感情なのか、親愛なのか、それとも同情なのか。
自分でもわからない。むとうさんもあんなふうに自分の気持ちを話すことは今までなかった。

二人とも酔ってたのよね。シュレッダーで入らない個人情報の書類を処分しながらそう結論付けた。


というか、やはり何事につけても達也と比べてしまうのだ。

そして、出会ったばかりの達也と私を思い出して、あの幸せは他ではもう手に入らないと思うのだ。

街中でも、達也みたいにツーブロックにしてる人を探してしまう。

もう会えないのかな…早く新しい好きな人が欲しいとも思うけど、忘れられないから旅立てないのだ。

< 45 / 113 >

この作品をシェア

pagetop