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ξ.ラブ・バトル
私は律のオフィスで滝野ゆずるのファイルを眺めた。

彼の素行に問題はなかった。

律が彼に夢中になる要因は全く理解に苦しむが

深沢財閥としては将来共に経営していく過程で適任かどうかを

この目で確認する必要があった。

書面ではすでに合格だった。

「誠二兄さん、私も同席するわ。」

「いや、いない方がいいな。」

「あらそう。手厳しいのね。」

「当然だよ。」

「新春まであちこちでパーティーがあるの。そのどれにも顔を出さないつもりなのよ。」

「律、勘違いをしないでほしいな。私は彼を観察し彼を理解しに来たんだよ。説得しに来たのではない。」

「どういうこと?私の選択が間違っているとでも言うの?」

「最終決定は親父だ。私の役目は報告だよ。」

「お父様に掛け合うわ。」

「無駄だよ。」

「どうして?」

私は律が面食いなだけとは思いたくないが

目をつける男はいつも面構えがいいヤツばかりだった。

私が返事をしないと妹は爪を噛み出した。

「いいわ。どうとでもしてちょうだい。今夜は沖縄へ飛ぶから支度しないと。」

「気をつけて。」

また他の男をあさらぬように。

私はオフィスのドアを開けて妹を見送った。

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