【完】復讐の元姫
:不穏な影
「シオ」
──結局。
倉庫に長々と居座った私は、午後になってようやく帰ることにした。
「ごめんね、麗」
彼のバイクに乗る前、そうやって謝れば。
彼は「別にいい」と私の頭を撫でてくれて。
2年ぶりに彼の後ろに乗るけど、彼の背中は変わっていなくて。
「っ」
景色が変わる様子を眺めてる余裕もなく。
ただただ泣きそうになりながら、彼の背中に抱きついているだけだった。
「シオ」
優しい声に、そっと体を離す。
気がつけばもう、門の前で。
離れるのが惜しくて、つい。
「……寄って、いかない?」
そんなことを口走っていた。