病愛。【完】
私は恭平と共に保健室を出た。





すると廊下には…





「成美!!そ…」





と言いかけたところでハッとした。





もう颯とは話しちゃダメだったんだ…





私は颯から目をそらした。








「綾香…ごめん。」






そう成美は涙を流した。





「あんなひどいこと言って本当にごめん…っ」





そんな成美の頬をそっとなでた。






「成美。私こそごめん。成美の本当の気持ちに気づけなくて…」





私、全然知らなかった。





成美が、颯のことを好きなんて。





「だからお互い様だよ。もう謝らないで?」





「綾香…」





「だって私達、ずっと一緒にいた…親友でしょう?」





私は微笑んだ。





ずっとそばで見守ってきた。





色んな姿を一番近くで見てきた。




そんな幼なじみだからこそ…




私達はつながってる。






「綾香っ…!!」





私達は抱きしめあった。





強く…長く。











「颯?」





颯にいきなり声をかける恭平。





「…なんだ?」





颯は恭平をにらむ。






「あ~もしかしてさっき、綾香に目をそらされたことを怒ってる?」





すると颯は恭平の襟首をつかんだ。





「お前、今度は伊藤に何を吹き込んだ…?!」





「吹き込んでない。約束したんだ。」





恭平は颯の手を払い





「すべての男子との関係を断ち切れって。」





「はぁ?!」






「で。颯。綾香を見張ってくれないか?」






颯を無視して言葉を続ける恭平。






「もし、ちゃんと見張れてなくて…綾香がほかの男子との関係を持ったら…」





恭平はニヤリと笑った。





「この学校はなくなるぜ?」





「…!!」





恭平の表情からは本気としかとれなかった。





「綾香。帰るぜ?」





「うん。バイバイ。成美。」






綾香は颯には何も言わなかった。





それを満足そうに見る恭平。





また歯車が…回りだす。
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