イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
13、危険手当て ー 桃華side
 何で私がこんなものを着なきゃいけないの?

 ドレスなんて友達の結婚式でも着なかったのに。

 しかも、このヒールの高い靴。

 今日の小笠原さんの大使就任パーティ行きたくない。

「何むくれてるの?すごく桃華に似合ってるわよ。そのドレス」

横にいるセーラが私を見て褒める。

 黒いベルベットのミニのカクテルドレス。

両サイドに十五センチ程スリットが入っていて落ち着かない。

 深紅のドレープもついてて……『カルメン』を踊るフィギュアスケーターみたい。

 丈が短いし、胸から上は黒のレースになってるとはいえ露出多すぎ。

「本当に着なきゃダメですか?下着も見えそうで嫌なんだけど」

私にはこんなのセクシー過ぎる。

そんな不安を口にすれば、セーラは何食わぬ顔で返した。

「見えないわよ。インナーも黒だし、ちょっと見えたってわからないわよ」

「やっぱり見えるんだ……」

「冗談よ。大丈夫。桃華は背は低いけど、顔も小さいし、首も脚も細くて、うらやましい」
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