イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
3、兄、帰国 ー 桃華side
 PCの電源を落として帰り支度をすると、机の上のスマホがブルブルと震えた。

 表示を見ると、兄からだった。

" いつものカフェで。 修 "

 今日帰国するなんて聞いてなかったんだけど。

「知らせてくれれば食料もっと買っておいたのに」 

 でも、カフェで待つって事は、今夜は外食になりそう。

 私の兄、相澤修は国家公務員採用総合職試験を1発でパスした超エリート。

 いわゆるキャリアだ。

 今は在イタリア日本大使館にいるんだけど、どうして急に帰国したんだろう。

 急いで銀座のカフェに向かうと、奥の席に兄がいた。

 サラサラの黒髪で端整な顔立ち。シルバーフレームの眼鏡にジーンズ、グレーのシャツというシンプルな格好なのに、周りの若い女性の視線を集めている。

 本人は慣れたもので気にせずスマホをいじっていた。
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