イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 静かな夜も良い。

 どうやって桃華とあの男の関係を吐かせようか。

 恐らくあの時は見栄を張って恋人の振りをしたに違いない。

 考えるだけでもワクワクしてくる。

 ちょっとチェスをやってる気分になる。

 相手の反応を予想して仕掛ける。

 1手でチェックメイトするのは容易い。

 だが、相手がどううろたえるのか。

 それを想像すると楽しい。

「お前、またSの顔してるぞ。さては、桃華ちゃんいじめるつもりだろ?・・・なんか桃華ちゃん可哀想」

 うっすらと笑う俺を見て、イーサンが呆れ顔になる。

「俺の部下の心配より、セーラの心配したら?」

「ううっ。でも、俺は独身生活を謳歌したいんだ!」

彼は自分勝手な主張をする。

「お前、本当に救いようがないな」

 俺はお馬鹿でヘタレな従弟に冷やかな視線を向けた。
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