イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 今日こそは……。

 祈るような思いで、店員が並べるバッグを素早くチェックする。

 今日の入荷は三個

「色は……ブルー、ベージュ、……あっ‼ 深紅のシャーリー!」

 思わず叫んでいた。

 だって、だって、ついに会えたんだもの。

 お願いです。

 私の番が来るまで誰も買わないで。

 固唾を飲みながら、順番を待つ。

 最近、人気のベージュはすぐに売れた。

 後ふたり……。

 次はブルーが売れた。

「来い、来い、私のとこに来い」

 自分でもテンションがおかしいのがわかるけど、止められない。

 へんてこな呪文を唱える。
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